直接展望レポート フル版 顧客タイプ:メーカー

「サロンの価値を育てる仕組み」が、時代の主役になる未来へ

業界の未来予測と、AIMH様がすでに歩んでこられた道のりを重ねてお届けする、今後の打ち手の方向性と、その前提が崩れた場合の備えまで整理した一冊です。

AIMH様向け / 作成日:2026年7月8日 / 作成:ミラノ(伊藤未来之)

01 / 現在地

①現在地

AIMH様が掲げる信条は、明確です。「LINKは、商材ではなくサロンの価値を育てる仕組みです」。単に製品を届けて終わりにするのではなく、サロンの経営課題を一緒に整理し、現場で続くメニュー・教育・店販導線まで落とし込むこと——これがAIMH様が大切にしてきた姿勢です。

この考え方は、すでに具体的な形になっています。TR比率(トリートメント比率)・客単価・店販売上・スタッフ教育・ブランドづくり・少人数サロンでの導入設計という6つの経営課題ごとに、実在するサロン様の活用事例(NEXTLEADER収録)と結びつけて紹介する「LINK サロン課題別ガイド」が、すでに稼働しています。これは、一般的な商品訴求ではなく、"悩みから事例を探し、自店の相談の切り口に変える"という診断型・伴走型の提案スタイルが、すでにAIMH様の営業活動の根底に定着していることを示しています。

同時に、製品そのものの磨き込みも止まっていません。2024年後半から2025年にかけて、複数の処方ラインで並行した改良が続けられてきました。

現場を支える体制づくりも同時進行です。2024年11月には、マイスター・エキスパートによる接客コミュニケーションを強化するプロジェクトが始動し、カウンセリングシートに基づくトークをマニュアル化する取り組みが始まりました。支店担当の再編を伴う営業体制の見直し(バリューセールスプロジェクト)も進み、セルアウトは前年比120%を超える実績を上げています。

AIMH様の現在地は、「事例に基づく伴走型の提案スタイルはすでに確立している」「製品も現場体制も、止まることなく磨き込みが続いている」という、地に足のついた成長の途上にあります。

02 / 業界の未来

②業界の未来

世界のヘアケア規制は、2026年から2028年にかけて、複数の重要な期限が集中する「規制の窓」を迎えます。

米国では、86年ぶりの化粧品規制改革(MoCRA)により、施設登録・製品リスト・安全性実証・有害事象報告が義務化されました。2026年7月1日には初回の施設登録更新期限が到来します裏取り済み。GMP(製造管理)の詳細規則は2026年1月時点でまだ発行されておらず、その中身は今後確定していく段階です見通し

インドネシアでは2026年10月17日から、輸入品を含めてハラール認証が義務化されます裏取り済み。認証取得には3〜6ヶ月を要するとされており、輸出を見据えるなら準備のリードタイムが実質的に迫っています。

欧州では、酸熱トリートメントの主成分であるグリオキシル酸について、科学委員会(SCCS)がデータ提出期限を2027年5月5日と定めています。この期限自体は確定していますが裏取り済み、結論の中身——禁止か、制限付きでの存続か——は2027〜28年頃に出る見通しの段階です見通し

これら3つの規制の節目が2026〜28年に集中することは、海外展開を考える上でも、国内の処方設計を考える上でも、無視できないカレンダーです。

処方・原料のトレンド、そして対サロン・対美容師向けの競争軸は、業界の未来をどう読むかによって、次のように見え方が変わってきます。

順風シナリオ見通し 輸出・越境ECが伸び、海外の規制対応さえクリアすれば、新しい需要が国内縮小分を上回っていく。
標準シナリオ見通し 現状の延長線上で、専売メーカーの競争軸が「商品力」から「サロンの経営支援力」へじわじわ移行していく。ディーラーも経営コンサル・DX支援へと業態転換していく。
逆風シナリオ見通し AIパーソナライズ×D2C直販が流通構造そのものを解体し、専売・ディーラー経由という前提が揺らいでいく。

この「標準シナリオ」の動きは、すでに実例として始まっています。同業大手のミルボンは、2020年に開始した専売メーカー直営のサロン還元型ECサービスで、2023年時点で会員67万人・EC売上16.4億円(前年比+42.6%)を記録し、2025年には会員100万人を当初計画より1年前倒しで突破しました裏取り済み(同社決算資料)。「専売とECは共存しない」という業界30年来の前提が崩れた転換点であり、専売メーカーの競争軸が「商品力」だけでなく「サロンの経営支援力」そのものへ移りつつあることを示す実例です。

処方面では、パーマ→カラー→矯正・熱という処理剤の世代交代の流れの中で、現在はボンド系処理剤がカラー剤・矯正剤へ「内蔵化」していく段階にあります裏取り済み。次の世代としては、髪の状態を診断しながら処理剤の中身が変わる「診断連動・内蔵型」の処方が2020年代末に登場すると見られています見通し。サステナ要求(詰め替え・リフィル・バイオマス容器)は2022年からすでに商品開発の必須要件になっています裏取り済み

⚠️ 見通し情報についての注記 このセクションのうち「見通し」ラベルが付いた記述(GMP細則の中身、SCCSの結論、3シナリオの分岐、次世代処方の登場時期など)は、業界の複数シナリオに基づく予測であり、確定した情報ではありません。規制の期限や実績データ(「裏取り済み」ラベル)とは区別してお読みください。

03 / 理想の未来像

③理想の未来像

この未来地図の中で、AIMH様がすでに持っている強みは、決して小さなアドバンテージではありません。

「サロンの経営支援力」が競争の主戦場になっていく未来において、AIMH様はすでに「商材ではなく、サロンの価値を育てる仕組み」という信条を掲げ、悩み別の事例で伴走するスタイルを実践しています。これは、多くのメーカーがこれから慌てて後追いすることになる立ち位置に、AIMH様がすでに足を踏み入れているということです。

規制の窓(2026〜28年)をひとつの通過点と捉えれば、その先に見えるのは、「処方の強さ」だけでなく「サロンの経営に踏み込める伴走力」の両方を兼ね備えたブランドとして、選ばれ続ける姿です。処方開発の手を止めない現場と、事例に基づいて悩みに寄り添う提案スタイルと、その両輪が噛み合ったとき、AIMH様は単なる「良い商品を作るメーカー」から、「サロンの未来の相談相手」として選ばれるポジションへと進化していきます。

04 / 今やること

④今やること

この理想像に向けて、今のアクションプラン(LINK サロン課題別ガイドを軸にした提案スタイル)の大きな方向性を変える必要はありません。ただし、業界の未来と照らし合わせると、今の取り組みには「もっと深めるべきところ」「次の段階へ進化させるべきところ」「これまでのやり方を新しく変えるべきところ」、そして「これから真価が最も発揮されるところ」の4つが見えてきます。

深化ポイント — 今すでに強いところを、もっと磨く

  1. 事例データベースを、育て続ける資産にする NEXTLEADER・LINK サロン課題別ガイドの6分類ごとの事例を定点更新し、鮮度を保つ運用にしていく。
  2. 既存パートナーサロンとの関係を、より深く育てる 京都支店のように取り組みサロンが増えているエリアの成功の型を言語化し、他エリアへ横展開する。相手に多く渡し続けることで長期的な信頼が育つ、という考え方をここでも当てはめる。

進化ポイント — 今の型を、次の段階へ発展させる

  1. マイスター・エキスパートのトークマニュアルを、定着の段階へ進める 2024年11月に始まったコミュニケーション強化プロジェクトを単発のMTGで終わらせず、検証→現場定着→更新という継続サイクルにしていく。
  2. 支店ごとの成功パターンを、次の打ち手に翻訳する バリューセールスプロジェクトで見えてきた地域差(伸びているエリア・苦戦しているエリア)を、単なる実績報告で終わらせず、次の施策設計の材料にする。

新化ポイント — これまでのやり方を、新しく変える

  1. 規制の窓(2026〜28年)から逆算した準備を始める ハラール認証やMoCRAのような期限のあるテーマは、期限直前の対応ではなく、今のうちから逆算して動く。
  2. 次世代処方(内蔵化・診断連動化)の種をまいておく 現行ラインの改良と並行して、「診断連動・内蔵型」という次の処方世代を見据えた開発テーマを設定しておく。

真価ポイント — これから最も輝く場面

  1. 相手に喜んでもらうことを積み重ねてきた姿勢が、そのまま競争軸になる 「サロンの経営支援力」が選ばれる理由になっていく時代において、AIMH様がすでに実践してきた伴走スタイルは、他社が後追いで真似しにくい資産になる。
  2. 事例に基づく提案スタイルは、価格競争から距離を置く差別化軸になる 処方の良し悪しだけで比較される土俵から離れ、「悩みに寄り添って結果を出した実例がある」ことそのものが選ばれる理由になっていく。

05 / チェックポイント

⑤チェックポイント(この指標が動いたら、次の一手)

②でご紹介したシナリオのどれに向かっているかは、あらかじめ分かるものではありません。そこでクロニクルが「早期警戒指標」として定めている項目の中から、AIMH様の現在地に特に関係するものを抜粋しました。数字そのものより、「この指標がこう動いたら、こう動く」という備えとしてご覧ください。

指標現状・見るポイント動いたら(プランB)
専売EC(iD型)の店販内シェア 業界最大手の専売メーカー直営ECは、2020年開始から2025年に会員100万人を突破するペースで拡大しており、店販チャネルにおいてECが標準インフラ化しつつあります裏取り済み
AIMH様は現時点で、EC非対応・サロン限定販売を方針の軸としています。
「サロンでしか買えない」という立ち位置が、この先も差別化の武器になり得るのか、それとも取り残されるリスクになるのかは、まだ結論を出さず、継続して検討しておく必要があるテーマです見通し。まずは非EC方針を崩さないことを前提に、シェアの動きを定点観測します。
グリオキシル酸SCCS意見書の内容(欧州) データ提出期限は2027年5月5日と確定していますが裏取り済み、禁止か制限付き存続かという結論の中身は2027〜28年頃に判明する見通しです見通し 禁止判断が出た場合、酸熱系トリートメントに依存する処方ラインは、欧州向けだけでなく国内処方の設計見直しも視野に入れる必要があります。制限付き存続であれば、代替原料の準備を前倒しで進める判断材料になります。
ハラール認証圏の拡大 インドネシアは2026年10月17日から輸入品を含めて義務化されます裏取り済み。周辺国での認証要件強化の動きも見通しとして挙がっています見通し 認証義務化の対象国が広がった場合、輸出を見据えた原料設計・認証取得のリードタイム確保を、対象国の拡大ペースに合わせて前倒しする必要があります。
白髪・毛髪再生研究の臨床進捗 「診断連動・内蔵型」という次世代処方は2020年代末の登場が見通されていますが見通し、白髪・毛髪再生領域の臨床研究の進捗速度そのものは、今後の実数確認が必要です。 臨床進捗が前倒しで進んだ場合、現行ラインの改良と並行して仕込んでいる次世代処方の開発テーマ(④新化ポイント)の着手時期を早める判断材料になります。
⚠️ このセクションの見方 「専売ECの店販内シェア」のうちAIMH様ご自身の方針部分は確定した事実ですが、業界のシェア推移や他3指標の直近の実数は、本レポート作成時点では確認していません。規制期限や決算発表のタイミングに合わせて、年1〜2回の見直しをおすすめします(クロニクル側の早期警戒指標も毎年6月に更新予定です)。

出典

出典一覧

ここまでの内容は、AIMH様の現在地と業界の未来シナリオを重ね合わせた下書きです。専売ECをめぐる立ち位置の是非も含め、具体的な実行スケジュールや投資対効果の詰めについては、あらためてすり合わせのお時間をいただければと思います。