01 / 現在地
①現在地
エネル様は「傷んでから直すのではなく、そもそも傷ませない」という一貫した思想のもと、美容室向けのシステムトリートメント(エネルシステム)と、ご家庭向けのケアライン(18organic Reverse care、Cojin)を両輪で展開されています。他社の多くが「ダメージへの対処」を語る中で、エネル様は施術前の段階、つまり髪が傷む前の状態そのものに焦点を当てている点が、一貫した独自性になっています。
「エネルってよく前処理が全てだという言い方をするじゃない、文字通りなんですよ」
この思想は、すでに数字として裏付けを持ち始めています。札幌の提携サロン・CuCuLa様では、エネル様の予防思想を導入したことで、次のような変化が実際に起きています。
| 変化 | 内容 |
|---|---|
| 人員体制 | スタッフ6名(2023年)→5名(2024年3月〜)→4名(2026年〜)体制でも、売上は維持 |
| 単価 | カット以外のエネル関連メニューを10%値上げしても、大きな客離れは起きず |
| 提案力 | 「1万円のメニューでは無理」と感じていたスタッフが、2万円のメニューを提案できるように |
| 売上実績 | スタッフ体制の縮小(6名→4名)により客数は2023年上半期→2026年上半期で約23%減ったが、値上げによる離反ではなく(失客率は1〜2%と低水準)、客単価が7,922円→11,802円に上昇したことで、2026年上半期の売上は過去最高を記録 |
一方で、現在地にはあわせて2つの課題も見えています。ひとつは「予防」という言葉自体の伝わりにくさです。ダメージへの対処であれば効果を実感しやすい一方、予防は「何も起きなかったこと」が成果であるため、価値が伝わるまでに時間と説明の工夫を要します。もうひとつは販売チャネルの構成変化です。
| チャネル | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|---|
| 美容室(エネルシステム) | 35,898,955 | 38,567,895 | 36,217,243 |
| CuCuLa系(EC・エステ店販) | 10,627,997 | 9,449,601 | 8,266,061 |
| ALL MY TEA(低単価リテール) | 6,493,790 | 7,260,616 | 8,971,943 |
美容室チャネルは2024年をピークにやや落ち着き、EC・エステ店販は2年連続で縮小している一方、低単価のリテール商品は着実に伸びています。ここでの「美容室チャネル」はエネル様全体の受注ベースの集計であり、CuCuLa様のように個別サロンの売上そのものが伸びているケースと矛盾するものではありません。「本業(施術提案)」「サロン発の高単価ケア」「日常的に手に取りやすい低単価商品」という3つのチャネルの重心が、静かに移動し始めているのが現在地です。
02 / 業界の未来
②業界の未来
ヘアケア業界の未来シナリオを見渡すと、エネル様が先行して取り組んできた「予防」という方向性は、決して特殊な一社の思想にとどまらず、業界全体が今後たどる可能性の高い道筋のひとつとして位置づけられます。
特に注目したいのは、標準シナリオの延長にある「次世代の基幹メニュー枠」です。業界の戦略分析では、この枠の有力候補のひとつとして「予防型」が名指しされている一方、同時に「効果実感が遅く、見える化が必須条件になる」という弱点も明記されています。これは裏を返せば、見える化の仕組みを先に持っている企業ほど、この枠を取りに行きやすいということでもあります。
03 / 理想の未来像
③理想の未来像
CuCuLa様で起きた変化、すなわち「値上げしても大きな客離れが起きない」「スタッフが自信を持って高単価メニューを提案できる」という状態が、一店舗の成功事例にとどまらず、エネル様と関わりを持つサロン全体で再現されている。それが、このレポートで描く理想の未来像です。
そのとき「予防」は、抽象的な思想としてではなく、車の定期点検のように「効果が見える形で、定期的に確認できる仕組み」として、サロンとお客様の間で共有されています。予防の価値は「何も起きなかったこと」ではなく、「点検のたびに、髪の状態が数値やビフォーアフターで確認できること」に置き換わっています。エネル様は、この「予防を見える化する仕組み」を最初に体系化した企業として、次世代の基幹メニュー枠の定義そのものに関わる立ち位置を得ています。
04 / 今やること
④今やること
- 「予防の見える化」指標をつくる 業界側も指摘する「予防は効果実感が遅い」という弱点への対策が、最優先です。CuCuLa様で実際に起きた変化(単価・提案力・客数減少下での売上成長)を、他のサロンにも当てはめられる「予防効果を測る物差し」として整理します。ここが遅れると、見える化の手段を先に持った他社に、次世代メニュー枠の定義権を先に取られるリスクがあります(この「次世代メニュー枠」自体が②の業界シナリオに基づく見通しです)。
- CuCuLa様の事例を「型」に変える CuCuLa様への導入プロセスは、ロールプレイでも個別指導でもなく「思想を確認する場」と「講習会の継続開催」というシンプルな2つの取り組みでした。この再現性の高さを言語化し、次のサロンへ展開できる提案素材として準備します。
- チャネル構成の重心移動を前提にした再設計 低単価リテール(ALL MY TEA系)が着実に伸びている一方、EC・エステ店販(CuCuLa系)が縮小傾向にあります。この変化を一時的な波と捉えず、「本業の施術提案」「サロン発の高単価ケア」「日常的な低単価接点」という3チャネルの役割分担を、次の中期計画のタイミングで見直す価値があります。
出典
出典一覧
- 業界の未来シナリオ・次世代メニュー枠の分析:美容業界クロニクル(日本版)より(見通し情報)
- CuCuLa様の導入成果・チャネル別売上データ:エネル様社内資料・公開LPより(裏取り済み情報)